相続・遺言の最新トピックス(2026年6月8日号・第4回)

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相続・遺言の最新トピックス

2026年6月8日号(第4回)

(2026.06.22更新)

こんにちは。6月に入り、衣替えとともに、ご家族の今後について落ち着いてお話される時期になってきました。 今回は、「公正証書遺言の電子化開始」「配偶者居住権の意外な落とし穴」「おひとり様の終活」「最高裁の新判断」 の4本を、わかりやすくまとめてご紹介します。

制度改正・法改正1.公正証書遺言が「電子化」されました ── 2025年10月から

2025年10月、公証役場で作成する 公正証書遺言の電子化 が始まりました。 これまで紙でしか作成・保管できなかった公正証書遺言が、電子データとして作成・保管 できるようになり、改ざんの心配がより少なくなりました。

主な変更点

  • 公証役場で作成した遺言を 電子データで保管(紙の保管も併用可)
  • 謄本(コピー)が 電子データで発行 可能に
  • ウェブ会議システムによる遺言作成 も、一部運用可能
「自筆証書遺言の電子化」とは別の話です: 第1回号でご紹介した「保管証書遺言」(パソコン・スマホで作成できる、自筆に代わる新しい遺言方式)は、 2026年6月17日に改正民法として正式に成立しました。施行は公布から3年以内とされており、実際に使えるのは数年先になる見込みです。 一方、今回ご紹介したは 公正証書遺言の電子化はすでに始まっており、今日から利用できます。 紛失・改ざんへの強い安心感を求める方には、引き続き公正証書遺言が選択肢の中心となります。

相続トラブル事例2.「配偶者居住権」の意外な落とし穴 ── 住み続けられるはずが…

2020年から始まった 「配偶者居住権」 は、亡くなった夫(妻)の自宅に、 残された配偶者が 原則として終身、住み続けられる権利 です。 制度の趣旨は素晴らしいのですが、実際に使ってみると、思わぬトラブルが起きることもあります。

よくある落とし穴

登記しないと守られない配偶者居住権は 建物について登記 ができます。登記をしておけば、その後に建物が第三者へ売却されても住み続けられますが、未登記のままだと買主から立ち退きを求められるおそれがあります。取得したら早めの登記が重要です
固定資産税や修繕費建物の通常の修繕費・固定資産税は、居住権を持つ配偶者が負担 するのが原則
増改築には制限バリアフリー改修などの増改築は、建物所有者(多くはお子様)の承諾が必要
後妻と先妻の子前妻のお子様が建物所有者の場合、関係が悪化すると居住権の行使が難しくなることも
節税目的だけで使わないでください: 配偶者居住権は 相続税対策として有効な場面もあります が、 上記のように 後々の管理や関係性に難しさを抱える 仕組みでもあります。 「とりあえず節税になるから」と安易に設定すると、将来の介護施設入所時の売却が困難になるなど、 かえって不便を抱えることに。設定前に、ご家族とよくお話し合いいただくことが何より重要です。

終活の豆知識3.「おひとり様」の終活 ── 死後事務委任契約と身元保証

生涯未婚、配偶者と死別、お子様がいらっしゃらない ── そんな 「おひとり様」のご相談 が、 近年大きく増えています。ご家族に頼れない場合、入院時の身元保証や、お亡くなりになった後の手続きを どなたが担うかが、深刻な課題となります。

備えのための主な契約

死後事務委任契約葬儀・納骨・行政手続き・遺品整理・サービス解約など、亡くなった後に必要な事務を 信頼できる第三者(行政書士・司法書士等)に委ねる 契約
身元保証契約入院・施設入所時の 身元保証人を務めてくれる 契約。緊急連絡先の引き受けや、医療同意の代行(一部)も含まれることが多い
任意後見契約判断能力が低下した場合に備え、事前に後見人を選んでおく 契約。家族信託と比較されることも
費用の目安: 死後事務委任契約の作成費用は 約30万円前後、 葬儀費・各種手続き・予備費を含む 預託金は90万〜160万円程度 が一般的です。 最近は信記銀行や、自治体・NPOによる支援サービスも増えてきました。 「自分が動けるうちに、信頼できる契約先を選ぶ」 ── これが何より大切な準備です。

裁判例の紹介4.「自動車死亡事故の保険金は相続財産」── 最高裁が新判断

2025年10月30日、最高裁判所第一小法廷は、相続実務に大きな影響を与える判断を示しました。 「亡くなった方が運転中の自動車事故で支払われた死亡保険金は、相続財産に含まれる」 という判断です。

これまで一般的な生命保険金は、あらかじめ受取人が指定されているため 受取人固有の財産(=相続財産には含まれない) と扱われてきました。一方、自動車保険の 人身傷害保険(運転手自身の死亡に対する補償) は、 被保険者本人に生じた損害を埋め合わせる性質 のため扱いが分かれていましたが、 今回の最高裁は、この保険金の請求権はまず被保険者本人に発生し、その相続財産に属する と判断しました。

「どの保険か」で扱いが変わります: 今回の判断は、人身傷害保険のように「本人の損害を補償するタイプ」 についてのものです。 生命保険のように 受取人が指定されている保険金は、引き続き受取人固有の財産 として扱われ、相続財産には含まれません。 「自動車事故の保険金はすべて遺産分割が必要」というわけではなく、どの保険から、どういう内容で支払われたか によって扱いが変わる点にご注意ください。
ご注意ください: 「保険金だから受取人のもの」と単純に思い込んでいると、後から 「遺産分割協議に含めるべきだった」と他の相続人から指摘されるケースが出てきます。 自動車事故で亡くなった方の相続案件では、保険会社からの支払い書類を 必ず内容を確認 し、 どの保険からの支払いかを整理することが大切です。

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