相続・遺言の最新トピックス
2026年7月2日号(第7回)
こんにちは。7月に入り、暑さも本番を迎えました。こまめな水分補給を忘れずにお過ごしください。
今回は、「年金制度改正法(遺族年金の見直しなど)」「身元保証サービスの相談増加と国のガイドライン」「戸籍集めが楽になる広域交付制度」「遺言で指定した相続人が先に亡くなった場合の最高裁判例」の4本を、わかりやすくまとめてご紹介します。
制度改正・法改正1.年金制度改正法が成立 ── 遺族年金が変わる、「働きながら年金」の壁も引き上げに
2025年6月に年金制度改正法が成立し、この4月から順次施行が始まっています。終活世代に関係の深いポイントを整理しました。
知っておきたい3つのポイント
| 遺族厚生年金の見直し(2028年4月〜) | 配偶者を亡くしたときの遺族厚生年金の男女差が解消され、18歳年度末までのお子さんがいない方が60歳未満で死別した場合、男女とも原則5年間の有期給付に統一されます。女性はまず「子のいない40歳未満の方」から始まり、約20年かけて段階的に対象が広がります。有期給付には年金額が約1.3倍になる加算が上乗せされ、収入等によっては5年経過後も給付を継続できる配慮措置があります。60歳以上で死別した場合はこれまでどおり期限のない給付で、すでに受給中の方の年金が変わるものではありません |
|---|---|
| 子どもへの遺族基礎年金(2028年4月〜) | 生計を同じくする父または母が遺族基礎年金を受け取れない場合でも、子ども自身が受け取れるようになります |
| 在職老齢年金の基準額引き上げ(2026年4月〜) | 働きながら厚生年金を受け取る場合、賃金と年金の合計が基準額を超えると年金の一部が支給停止になります。この基準額が月51万円から65万円へ大きく引き上げられ(法成立時は62万円と案内されていましたが、賃金の伸びを反映して65万円で施行)、「年金が減るから」と働き控える場面がぐっと少なくなりました |
トラブル・注意喚起2.「身元保証サービス」の相談が増えています ── 国のガイドラインを事業者選びの目安に
おひとり様の心強い味方である身元保証・死後事務などのサポートサービス(第4回でご紹介しました)ですが、利用の広がりとともにトラブルの相談も増えています。国民生活センターによると、関連する相談は2014年度の99件から2023年度には355件へと約3.6倍に増え、その後も高い水準が続いています。「思ったより高額だった」「約束したサービスが提供されない」「解約時に説明のないまま精算された」といった内容が典型です。
こうした状況を受けて、2024年6月には内閣官房・消費者庁など関係府省庁が「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を公表しました。事業者が守るべき目安であると同時に、私たち利用者が事業者を見きわめる物差しとしても使えます。
契約前に確認したい4つのポイント
| 料金の内訳が書面で明確か | 入会金・月会費・預託金・実費の内訳と、どこまでが基本料金に含まれるのかを書面で確認しましょう |
|---|---|
| 預けたお金の管理方法 | 葬儀費用などの預託金が事業者の運営資金と分けて管理されているかは重要な確認点です。ガイドラインも分別管理を求めています |
| 解約・返金のルール | 途中解約したときにいくら戻るのかを、契約前に必ず確認しましょう |
| ひとりで契約しない | 契約の場には、できれば信頼できる第三者(親族、地域包括支援センター、専門家など)に同席してもらうと安心です |
終活の豆知識3.戸籍集めがぐっと楽になりました ── 「広域交付制度」をご存じですか
相続手続きでは、亡くなった方の「出生から死亡まで」の連続した戸籍を集める必要があります。以前は本籍地のあった市区町村ごとに一つひとつ請求する必要があり、転籍の多い方では大変な手間でした。
2024年3月に始まった「戸籍証明書等の広域交付制度」により、いまは最寄りの市区町村の窓口1か所で、全国各地の戸籍をまとめて請求できるようになっています。青梅市にお住まいの方なら、市役所の窓口で遠方の本籍地の戸籍も取得できます。
利用の際の注意点
| 請求できる人が限られます | 広域交付を利用できるのは本人・配偶者・直系の父母や祖父母・子や孫です。兄弟姉妹や甥・姪の戸籍は対象外のため、きょうだいの相続では従来どおり本籍地への請求が必要です |
|---|---|
| 窓口に本人が出向く必要 | 郵送や代理人による請求はできず、窓口で顔写真付きの本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)の提示が必要です |
| その場で受け取れないことも | 古い戸籍(改製原戸籍など)は、交付までに日数がかかる場合があります。時間に余裕をもって手続きしましょう |
裁判例の紹介4.遺言で指定した相続人が先に亡くなったら? ── 遺言は原則「効力を失う」という最高裁判例
「長男に自宅を相続させる」と遺言を書いたのに、その長男が自分より先に亡くなってしまった── 長寿の時代となった今、決して珍しくないケースです。この場合、自宅は長男の子(お孫さん)が代わりに受け取れるのでしょうか。
最高裁 平成23年2月22日判決
最高裁判所は、「相続させる」旨の遺言で指定された相続人が遺言者より先に死亡した場合、特段の事情がない限り、その部分の遺言は効力を生じないと判断しました。つまり、お孫さんが自動的に引き継ぐ(代襲する)ことはなく、その財産は遺言がないものとして、相続人全員の遺産分割協議で決めることになります。せっかく残した遺言も、その部分は白紙に戻ってしまうのです。


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