相続・遺言の最新トピックス(2026年7月25日号・第8回)

トラブル・注意喚起

相続・遺言の最新トピックス

2026年7月25日号(第8回)

こんにちは。梅雨も明け、連日厳しい暑さが続いています。涼しい室内で、こまめな水分補給を忘れずにお過ごしください。
今回は、「戸籍のフリガナ記載がスタート(届出期間は終了しました)」「住所変更登記の義務化(2026年4月〜)」「相続した土地を国に引き取ってもらう制度の利用が2,000件を突破」「遺言の押印は『花押』では代わりにならないという最高裁判例」の4本を、わかりやすくまとめてご紹介します。

制度改正・法改正1.戸籍のフリガナ、市区町村による記載が始まりました ── 通知の確認はお済みですか

2025年(令和7年)5月26日から、戸籍に氏名のフリガナを記載する制度が始まりました(改正戸籍法)。これまで戸籍には「読みがな」がなく、相続や年金、銀行の手続きで氏名の読み方を確認する手間の一因になっていました。本籍地の市区町村から「このフリガナを記載する予定です」という通知が届き、正しい読み方をご自身で届け出る期間は2026年5月26日まででした。この期間が終わり、いまは届出のなかった方について、市区町村が通知どおりのフリガナを順次戸籍に記載していく段階に入っています。

知っておきたい3つのポイント

記載はどう進む?届出をしなかった方は、通知に記載されていたフリガナが市区町村の判断(職権)で戸籍に記載されます。届出をしなかったことへの罰則はありません
読み方が違っていたら?市区町村がフリガナを記載した場合は、1回に限り、家庭裁判所の許可なしに届出だけで変更できます。あわてなくて大丈夫です。
確認の方法届いた通知のほか、マイナポータルや戸籍証明書で確認できます。フリガナは今後、相続などの手続きでも使われていきます。
詐欺にご注意ください: フリガナの確認・届出に手数料は一切かかりません。「フリガナの手続きにお金が必要」といった電話・訪問・メールは詐欺です。
まずは一度、ご自身のフリガナの確認を: 相続の手続きでは戸籍が必ず登場します。実際の読み方と違うフリガナのままにしておくと、将来の手続きで余計な確認の手間が生じることも。気づいたときに早めに確かめておくと安心です。

制度改正・法改正2.引っ越し後の「住所変更登記」が義務になりました ── 2026年4月スタート

第1回でご紹介した「相続登記の義務化」(2024年4月〜)に続き、2026年4月1日からは、不動産をお持ちの方の住所・氏名が変わったときの変更登記も義務になりました。変わった日から2年以内に法務局へ申請する必要があり、正当な理由なく放置すると5万円以下の過料(行政上の罰金のようなもの)の対象になります。

知っておきたい3つのポイント

昔の引っ越しも対象2026年4月より前に住所が変わっていた分も対象です。こちらは2028年3月31日までに申請すれば問題ありません。
無料の「スマート変更登記」あらかじめ法務局に氏名・住所・生年月日など(検索用情報)を申し出ておくと、引っ越しの後に法務局が自動で登記を書き換えてくれます(無料)
自分で申請する場合登録免許税は不動産1筆あたり1,000円。司法書士に依頼する場合は別途報酬がかかります。
登記簿の住所が古いままだと、相続のときに困ります: 昔の住所のままだと、住所のつながりを証明する書類集めが必要になり、手続きがぐっと大変に。ご自身の登記を一度確認し、古いままなら早めの手続き(またはスマート変更登記の申出)がおすすめです。

終活の豆知識3.「使わない土地」を国に引き取ってもらう制度 ── 利用が2,000件を超えました

相続したものの使い道のない土地を、国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」(2023年4月開始)をご存じですか。法務省の公表では、2025年9月末時点で申請が4,374件、国への引き取り(帰属)が認められた土地が2,034件と、着実に利用が広がっています。

知っておきたい3つのポイント

使える人相続や遺贈(相続人が受けた遺贈)で土地を取得した方。共有の土地は共有者全員で申請します。
引き取ってもらえない土地建物が建っている、担保が付いている、境界がはっきりしない、土壌汚染がある──こうした土地は対象外です。
かかる費用審査手数料は土地1筆あたり1万4,000円。引き取りが認められたら、10年分の管理費に相当する負担金(原則20万円、山林などは面積に応じて増減)を納めます。
「遠方の土地を子どもに残したくない」ときの選択肢のひとつ: 売却・寄付・国庫帰属のどれが向いているかは、土地の状況によって変わります。お元気なうちに方針を決めておくと、相続される方のご負担がぐっと軽くなります。

裁判例の紹介4.遺言の押印、「花押」では代わりになる? ── 遺言が無効とされた最高裁判例

第6回で、パソコン等で作れる「デジタル遺言」の創設と、自筆証書遺言の押印廃止を盛り込んだ改正民法の成立をご紹介しました。ただし、この改正はまだ施行されていません(成立から3年以内に施行の予定です)。いま自筆で遺言を書く場合は、これまでどおり押印が必要です。

今回ご紹介するのは、ハンコの代わりに、戦国武将のサインとして知られる「花押(かおう)」を遺言書に書いた方の事例です。最高裁は「花押を書くことは、押印の要件を満たさない」と判断し、この遺言は無効とされました(最高裁平成28年6月3日判決)。

知っておきたい3つのポイント

実印でなくてもよい押印は実印である必要はなく、認印でも有効です。指印(拇印)を有効とした最高裁判例もあります。
サイン・花押はダメ署名だけ、花押だけでは押印の要件を満たさず、遺言全体が無効になるおそれがあります。
押印廃止は「これから」押印を不要とする改正法はまだ施行前です。いま書く遺言には、必ず押印を
小さな形式の不備が命取りになるのが自筆証書遺言: ご心配な方は、形式のチェックを受けられる法務局の自筆証書遺言保管制度公正証書遺言の利用もご検討ください。

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