相続・遺言の最新トピックス
2026年5月25日号(第3回)
こんにちは。第3回となる今回は、「ネット時代の相続」「お墓のかたちの変化」 といった、 ここ数年で大きく様変わりしてきたテーマと、ぜひ知っておいていただきたい 最近の最高裁の重要決定、 そして年内に期限を迎える 贈与税の優遇措置 について、まとめてご紹介します。
相続トラブル事例1.「ネット銀行・暗号資産」が見つけられない ── デジタル遺産の落とし穴
最近、当事務所でも特に増えているのが、ネット銀行の口座・証券・暗号資産(仮想通貨) といった、いわゆる「デジタル遺産」をめぐるご相談です。 通帳もキャッシュカードもないため、ご家族が そもそも口座の存在に気づかない ケースが少なくありません。
こんなトラブルが起きています
- 遺産分割協議を終え、相続税の申告もすませた後に、亡き父のメールから別の証券口座の通知が見つかった
- 暗号資産の保管場所(ウォレット)のパスワードが分からず、資産が 事実上凍結 されたまま
- 解約していないサブスクの月額料金が、亡くなった後も口座から引き落とされ続けていた
遺産分割後にこうした資産が見つかると、協議をやり直し、相続税も修正申告 が必要になります。 また、暗号資産については「価格は分かっても、本人にしかアクセスできず換金不能」という、 通常の財産にはない難しさがあります。
終活の豆知識2.「お墓」のかたちが変わってきています ── 永代供養・樹木葬が主流に
2026年に発表された最新の 「改葬・墓じまいに関する実態調査」(鎌倉新書)から、 日本人のお墓選びが大きく様変わりしていることが分かりました。
墓じまい後の改葬先(2026年最新調査)
| 永代供養(合祀・合葬) | 43.2%(前回 30.9%から大幅増) |
|---|---|
| 樹木葬 | 24.1% |
| 納骨堂 | 13.3% |
| 一般墓(墓石付き) | 14.3%(前回 22.3%から減少) |
継承者を必要としない供養形態を選ぶ方は 約8割 に達しています。 背景にあるのは、「次の世代にお墓の管理負担を残したくない」というお気持ちです。
裁判例の紹介3.「遺留分を取り戻した相続人は、介護した親族にいくら払うべきか」最高裁が判断
2019年からスタートした 「特別寄与料」 という制度をご存じでしょうか。 嫁・婿・甥姪など、相続人ではないご親族が亡くなった方を無償で介護していた場合に、相続人に金銭を請求できる という仕組みです。
この特別寄与料を、相続人がどのように分担するのか ── 特に 「遺言で財産をもらえなかったが、遺留分を請求して取り戻した相続人」 が分担するべきか、という難しい論点について、最高裁は重要な判断(令和5年10月26日決定)を示しています。
一見ややこしい話ですが、家族の中で 介護を担う方と、財産を相続する方が別人になる のはごく普通の光景です。「介護をしてくれた義理の娘さんに何かしてあげたい」とお考えの方、 あるいは「将来、義母の介護を担う予定」という方は、生前のうちに 遺言書での配慮 を ご検討いただくと、こうした難しい計算を避けられます。
制度改正・法改正4.「住宅取得等資金の贈与非課税」が今年12月末で期限切れ
親や祖父母から、お子様・お孫様のマイホーム取得のために まとまった資金を贈与 した場合に、一定額まで贈与税を非課税とする制度があります。 省エネ等住宅では 最大1,000万円、その他の住宅では 最大500万円 までが非課税扱いとなる、 ご家族での住宅取得を後押ししてきた制度です。
その後の延長や見直しは、本年末から来年にかけての税制改正の議論次第となります。 マイホーム購入をお考えのお子様・お孫様への資金援助をご検討中の方は、 「いつ贈与するか」「いつ住宅を取得するか」のタイミング が大きなポイントです。
なお、贈与税の非課税制度には、利用するための細かい要件(受贈者の年齢、住宅の床面積、所得金額など)と、 必ず期限内に贈与税の申告書を提出する必要がある点に注意が必要です。 要件の確認や、相続税対策とのバランス(贈与しすぎると相続時の節税枠を使いきれない等)も含めて、 早めにご相談いただくとスムーズです。

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